記憶 ―夢幻の森―
ワンッ!
『でもッ、俺の言葉は分かるぞッ!?』
エマはコンの言葉に、
そうね…、と頷いた。
「…でも、オリぺの言葉は分からない。不思議ね。二人とキース君の絆が強いのね?」
――…絆…?
「…離れても、きっと大丈夫よ。貴方たちはね、キース君がこの世界へ来た事で繋がったの。二人が前に進む事で、これから…より繋がるの…。」
「……?」
『はぁ…?』
ふふふ…と、
エマは穏やかに笑いながら、
謎めいた言葉を続ける。
今、俺の瞳に…
世界が輝いて見えるのは…、
きっと、この地面と月のせいだけじゃない。
微かな『希望』が、
エマの言葉には隠されていた。
「…その『代償』は、すでに貰っているのよ。」
……その、代償?
ワンッ!
『…もっと簡単に話せよぉッ!俺、さっぱり分かんねぇよッ!!』
「ふふ…、ちょっとハルカちゃんとコンちゃんには、難しすぎたかしらね?」
エマは、可愛らしく肩をすくめて俺を見た。
「…代償…とは?俺にも充分難しいんだが…」
「…キース君には、いつか分かる日が来るわよ。」
エマは、そうとだけ言った。