記憶 ―夢幻の森―
その蕾は、
ゆっくり、ゆっくりと…
開いていく…
やっと、
逢えたんだな…。
俺も、必ず…
――…ハルカに逢おう。
そうハルカと繋ぐ手に、
力を込めていた。
必ず…
もう一度、この手を繋ごう…
森の木々も、風も…
この山の全てが、
この光景を見守るかの様に…
静かだった。
ほんの一瞬…、
「エマ」は、
幸せそうに揺らめいて…、
――…ポタ…。
そう大粒の『涙』を、
小瓶の中に溢していた…。
その切なすぎる瞬間を、
俺たちは…
静かに涙を流して、見ていた。