記憶 ―夢幻の森―
19・約束
19・約束
「…あたし、何か、どこか変わった…?」
ハルカはオリぺの運んで来た小瓶の「涙」を飲むと、自分の体を見回して俺たちに聞いた。
「………。」
『…ん~…?』
俺たちは光る大地の中心に座り込んで、ハルカの様子を伺っていた。
コンは、俺の膝というお気に入りの場所にちょこんと座って首を傾げている。
「…何か、感じたり…しないのか…?」
見た目では…、
判断が出来なかった。
俺は今触っても大丈夫なものか、恐る恐るハルカの頬に触れる。
ハルカは、ふふ…と照れくさそうに笑顔を作っただけで。
何事も起きない事に、
ほっとしていた。
「…んーと、少し元気になったような気もするけど~…」
分かんない。
そう首を捻った。
エマに聞こうにも、
彼女の姿は「花」のまま…
その声すら、
未だ俺たちへと向けられていなかった。
二つの月が完全に重なるのは、
本当に少しの間で…。
それが二人が逢える、
唯一の限られた時間――…
一つだった月の輪は、
もう…、
ずれ始めていた。
エマは、大丈夫なのか…?
まさに今、
再び訪れた「孤独感」と、戦っているんじゃないだろうか…