記憶 ―夢幻の森―


お休み…

エマは、しばらくは花の元に意識を宿したままなのだろう。


『…ハルカちゃんとコンちゃんに、お願いがあるの…』

「何…?」


『…オリぺと、お友達になって欲しいの。また、遊びに来て欲しいの…』

ハルカは少し驚くと、

「…また、ここへ来てもいいの?」

と嬉しそうに笑った。


『…えぇ。貴女たちなら、いつでも歓迎するわ。もう狼に襲わせたりしない…。独りになってしまうオリぺと…、仲良くしてくれる…?』

そう穏やかに揺れていた。


「――うんっ!言葉は通じないけど、遊びに来るよ!約束するっ!」

ハルカはオリぺを抱き締める。
オリぺも、嬉しそうに尻尾を振っていた。


『…ん~…』

コンだけは複雑そうに、俺の膝の上でオリぺを見つめた。


『…コンちゃんも、お願いしてもいいかしら…』

エマの言葉に誘われて、オリぺがコンの前にちょこんと座る。


――アンッ!

と尻尾を振って鳴いた。


ワゥ…?
『…本当は寂しかったんだっ…て?…しょ~がねぇなッ!ただし、ハルカは俺んだからなッ!?』

コンもそう鳴いて、黒い尻尾をパタパタと振った。

少し大人になったコンを、俺は目を細めて撫でていた。

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