記憶 ―夢幻の森―
「――あぁ!約束するよ。」
少しだけ、
臆病な恋をした。
次に逢えたなら…
逢えた時は、言うよ。
――ハルカを愛してるんだ…、と。
だから、
この想いを誇れる様に、
俺はこれから、逃げずに真っ直ぐに生きていくよ。
ハルカの笑顔が、
この手の温もりが…
ハルカの全てが。
俺の『心』の中で輝くから…
離れていたって…
きっと、
繋がっている…。
ワンッ…
『…ぁ。そーだ…』
見つめ合う俺たちの横で、コンはハルカの耳元に近付いた。
何やら、こそこそと俺に聞こえない様に耳打ちをしている。
きょとん…としていたハルカの表情が、複雑な色に染まっていく…。
「…どう…した…?」
俺が恐る恐るそう聞くと、
ハルカは困った様な、それでいて嬉しい様な顔をして…
俺の頬に、
口づけを…した…。
「――…!?」
俺が自分の頬に手をやり、驚いていると…
「…次に逢ったら…。今度は、あたしが起きてる時に『キス』してね…!」
と…。
「――ぇ!?」
ハルカはまるで悪戯っ子のコンの様に笑うと、急に顔を赤らめて…
俺に背中を向けて、
走っていった…。