記憶 ―夢幻の森―
でも、
横で僕の返事を待って笑ってる男の人は、悪い人じゃなさそうなので、
僕は、言うだけ言ってみることにした。
「…おにいさん。ようせいって、いると思う?」
僕の言葉に、男の人は目を丸くした。
ほら…
やっぱりバカにするんだ。
「…いやぁ、驚いた。」
僕はプィ…っと、そっぽを向いた。
みんなバカにして、誰も真剣に話してくれないんだ。
「…まさか、5歳児と話が合うとは…。俺なぁ、大学で…あぁ、大学生なんだけど。妖精とか精霊とか、そうゆう『神話』を勉強してるんだよ。」
「…え?ほんと!?」
お兄さんは、笑顔で僕に握手をしてきた。
ブンブンと僕の手はふり回される。
こんな握手をする人は初めてで…
でも、なんか…
この握手のしかたをする人を、知ってる気がした。
だけど、
そんなことはどうでもよくて、僕は続きが聞きたかった。
「…ねぇ、いるの?」
「…ん~、見た事のある人間はいるけど、証拠がないから馬鹿にされるんだ。でも、伝説って形で情報だけ残ってる。…聞きたいか?」
「うんっ!ききたい!」
そんな僕に、お兄さんは得意そうに話し出した。