記憶 ―夢幻の森―
言わない方がいいのかな?
僕が、おどろいたのは。
赤ちゃんが動いたことだけじゃなくて…
見えないはずの、
赤ちゃんの姿が、
見えちゃったからなんだよ。
僕はもう一度、
そっとお腹に手をふれた。
「…かわいい、女の子だ…」
僕が、顔をお腹にくっつけてそう言うと、
その赤ちゃんが、動く。
うっすら…
お腹の中で目を開けて、
僕を見て、
笑ったような…
そんな気がしたんだよ?
「…私、女の子だって言ったかしら…」
お姉さんはそう首をかしげていた。
お兄さんも、セイジさんも…
ふしぎそうに僕を見ていた。
女の子には、
背中に「ハネ」がついていた。
…ようせい、なんだね…?
でも、ごめんね。
僕の探してる子は、たぶん君じゃないや。
僕の夢に出てきた女の子は…、
ハネが2つしかなかったんだ。
お腹の中の女の子の背中にあるハネは、
4つだった。
4つのハネが、
きらきらと輝きだして…
「…ぁ…。」
僕の指先に…
何かが、伝わってくる。