記憶 ―夢幻の森―
――有り難う…、ハルカ…!
「…どうしたんだ?…大丈夫か、僕?」
セイジさんがうつ向く俺の肩に手をかけた。
セイジさん…
また貴方たちに逢えるとは…
俺は、いつかの彼の言葉を思い出していた。
――『…私とユリネが人間の街に暮らす頃、まだハルカがお腹にいる頃…、そう予言する男の子が現れた。』
『…予言?』
そう…。
未だ、終わっていない。
「運命」を、
繋げなくては――…
――『男の子はこう言ったんだ。』
俺は、ぐっと顔を上げて…
セイジさんと、
ユリネさん…
二人の顔をじっと見た。
それだけで、
涙が出そうなのを堪え…
俺は…
あの言葉を、言う。
「…今から少し遠い未来、異世界から金髪の少年が現れる…。」
自然と言葉は覚えていた。
茶色の髪に…、
灰色の瞳をした幼い俺が、
いつかの言葉を口にした。
「…その彼が、娘さんを救うんだ…。だから…、『その時』を待っていてくれ…!」
いつの日か、
想いは、
結び合って…
ひとつの「線」に繋がる――