記憶 ―夢幻の森―


――有り難う…、ハルカ…!



「…どうしたんだ?…大丈夫か、僕?」

セイジさんがうつ向く俺の肩に手をかけた。


セイジさん…

また貴方たちに逢えるとは…



俺は、いつかの彼の言葉を思い出していた。



――『…私とユリネが人間の街に暮らす頃、まだハルカがお腹にいる頃…、そう予言する男の子が現れた。』

『…予言?』



そう…。
未だ、終わっていない。


「運命」を、

繋げなくては――…




――『男の子はこう言ったんだ。』


俺は、ぐっと顔を上げて…

セイジさんと、
ユリネさん…
二人の顔をじっと見た。


それだけで、

涙が出そうなのを堪え…


俺は…
あの言葉を、言う。



「…今から少し遠い未来、異世界から金髪の少年が現れる…。」


自然と言葉は覚えていた。

茶色の髪に…、
灰色の瞳をした幼い俺が、

いつかの言葉を口にした。



「…その彼が、娘さんを救うんだ…。だから…、『その時』を待っていてくれ…!」




いつの日か、

想いは、
結び合って…

ひとつの「線」に繋がる――




< 210 / 221 >

この作品をシェア

pagetop