記憶 ―夢幻の森―
――…何を話したか、
内容は覚えてないの?愛里。
……忘れちゃった。
でも、彼は笑ってた。
だから、
私も笑ってたよ。
――じゃあ、良かった。
…でも。
梓もその場に一緒にいれたら良かったのに、って思ってた。
――その報告を今聞けたから、それで充分。
じゃあ、愛里。
その大事な彼の名前、
覚えてる…?
…それだけは。
ちゃんと、覚えてる。
えー?
梓、知らないの!?
――知ってるよ!
…本当…?
じゃあ~、
せーの、で名前言おう?
せーの…
「『キース!!」』
キース…?
貴方は、
私たちにとって大切な存在。
友達、そして仲間。
時には、親の様で。
時には、私たちの兄。
そんな貴方に、
独りぼっちで寂しい思いなんて、して欲しくないの。
いつかのあの砂漠で、
そんな私を気に掛けてくれていたのは、
他の誰でもない、
貴方でしょう……?
…キース、
貴方は、今…幸せ?