記憶 ―夢幻の森―
○エピローグⅡ○
深い、深い森―――…。
木々からは緑色の光が降り注ぎ、青く光る虫たちが俺の視界を遮る。
そこは穏やかな時間が流れていて、少しばかり不安になりながらも、懐かしさが勝っていた。
そろそろ…、
きっと、
風が…、
あの声を運んでくる。
ざわざわ…
『…何か、お困りか――?』
…ほら、な?
夢じゃなかった…。
『――何かお困りか?少年…いや、青年かの…?』
「…じぃさん、久しぶり…」
俺は、見覚えのある大木を見上げて微笑んだ。
『…ほぅ。髪の色、瞳の色は違えど、その魂は…キースかの?』
「…あぁ。俺的には、23年振りなんだが…」
『そうか。…わしら的には、5年振りかのぅ…?』
そうじぃさんは嬉しそうに葉を揺らした。
「ははっ…!やっぱり、そうか…!」
夢じゃない。
あれは、現実だった。
『ハルカに…、会いに行くのか…?』
「…あぁ!!通してくれるか?」
『…当たり前だろう?』
道は、知っている。
俺は森の中を駆け出した。
さぁ…
この深い森を抜けて。
あの花畑で、再び君と…
また、
新たなる「運命」を、
歩いていこう―――…!