記憶 ―夢幻の森―

『…さぁさ、行きなさいよ。あの花畑を通って、その向こうに見えるのが妖精の棲む里…』

彼女の言葉に誘導されて、花畑の向こうに目をやると、生い茂る木々の合間からは人工の灯りが漏れていた。


「…ありがとう、じゃあ…行ってみるよ…」


本当に、
俺が進んでいいのか…?

俺はまるで踏み込んではいけない聖地に入るように、恐る恐る足を進めた。



花畑は、よく見ると花を踏まないように人がやっと通れる程の細い一本道がある。
そこだけ、下の土が見える。


俺は落ち着かなかった。

進めば進む程に…、
汚れなき花たちに囲まれる。

それでも、
道なりに前へ進むしかなかった。


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