記憶 ―夢幻の森―

「妖精の羽根は…人間の間では高値でやり取り出来るらしくて…」

あぁ…
俺がハルカを狙うと?


「大丈夫、そんな恐ろしい事は神に誓ってしない…」

本当?とハルカは言い、笑顔を取り戻す。



屈託のない笑顔は、
俺の縮まる心を、徐々に解放する。

まるで、
いつかのアズとアイリのよう…

安らぐ。
頬がほころぶ。

俺はふふっと笑った。


「…じゃあ、今からお友達ね?」

ハルカは遠慮がちに俺を覗き見る。
何とも愛らしい姿だ。


「あぁ、喜んで。」

「よかった…!」

目を細め互いに笑い合うと、
なぜだろう、
穏やかな気持ちになる。

あれかな…、
俺は柄にもなく、
独りで心細かったのか…。


俺たちの周りを、青い虫たちが灯した。


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