記憶 ―夢幻の森―
俺は素直に感動していた。
「それは、すごいな…!」
『…そうかぁ?へへ…そんな事もないぞぅ?お前いい奴だなぁ~』
あ、単純…
コンの性格がだんだん掴めてきた。
――バシッ。
『痛ぁい~、ハルカぁ。』
ハルカがコンの頭を後ろから叩いた。
「お花畑で火を吹くなって言ってるでしょ!?お花さんたち燃えちゃうでしょ!何回言ったら分かるの!?」
『ぁ…ごめん…』
「あんたはいつもねぇ…」
くどくどとハルカの説教が続く中、コンはどんどんと半泣き状態になり、終いには俺に助けを求めてきた。
キュゥン…
『これからは気をつけるよぉ。』
どちらの味方にもつかない気でいたが、
「まぁまぁ、ハルカ。気をつけるって反省しているようだし…」
とハルカをなだめる。
最初はムッと俺を見返したが、次第にぽかんと口を開けて指さした。
「コンの言葉、分かるの…?」
あ…、
まずかったかもしれない。
静かにそう思った。
「犬竜は、普通…卵を孵した本人としか言葉は交わせないのに…。」
『あ、ホントだ。』
コンも俺の後ろから顔を出した。
また…
状況が苦しくなる。
前途多難だな…