記憶 ―夢幻の森―

遠くから見ても綺麗だったが、教会は近くから見た方がより神々しさを増していた。


誰もが自由に立ち寄れる、その開け放たれた大きな扉をくぐった。
俺は言葉を失った。


月たちの光で、部屋一面のステンド硝子は床に幾つもの光を放っていた。


「パパぁ?ただいまぁ~!」

ハルカは辺りを見回しながら、姿の見えない父に向かって呼び掛ける。

俺はコンが自分の頭にいることも構わずに、首を傾けて宙を仰いだ。

「…あぁ…」

『はゎッ!』

コンがバランスを崩す。
落下しかけて、慌てて翼を羽ばたかせた。


『ぁ…ぶねぇ…。ぅおい、コラッ!キース、てめぇ!俺様が怪我したらハルカが泣くぞ!いいのか!?』

「ははは…それは嫌だな…。悪かったよ…。」


俺が、目の前で上下しながら小さく息を切らすコンをなだめようと手を伸ばす。

すると、その手をくぐり抜けて、俺の胸に小さく何発も足蹴を繰り返した。

「ははっ…悪かったって…」

ちょこちょこと、若干の痛みしか残らないその行為を、可愛らしいとしか思えない。

そんな俺を見透かしたように、唸りながら足蹴の回数を増やした。

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