記憶 ―夢幻の森―
『そうだぞ!話が難しいぞ!全ッ然、分からないぞっ!』
コンもハルカに同調し、ワンッと吠えた。
ハルカは頬を膨らませて両親を睨んだ。
俺たちは、その様子に面をくらって、お互いに顔を合わせると自然と笑い合った。
「…違いない。そうだな、ハルカ!」
俺は隣に座るハルカの頭を撫でて言った。
「俺は、異世界から来た。前世の記憶を持つ為に、体は少年でも中身はお前の父上と変わらない…。」
「…?」
「…それでも、友達でいてくれるか?」
「――うんッ!!」
ハルカは力一杯に頷いた。
全く敵わないな…、と両親を含め俺たちは目を細めた。
「初めての友達…、それだけで充分『救い』だよ、キース君…。」
セイジさんは、ぽそりと呟いた。
「…本当ね…。」
ふふふ、とお茶をすすりながらユリネさんも笑っていた。
それ以外に、
俺が出来る事はないだろうか…
何か、出来ないか?
ハルカの羽根を、本来の姿に戻す方法はないのか?
『俺がハルカの為に出来る事』
俺は、それを探そう。