記憶 ―夢幻の森―
そんな俺たちのやり取りに、
「むぅっ!やっぱり仲良くなってるじゃん!」
とハルカは頬を膨らませてみせた。
『仲良くないぞ!?キースは怒ると、きっと怖いんだぞぉ!?そんな気がしたぞ?今。』
「は?まぁ、いいや。コンはいつも意味分かんないし。」
『ハルカ、俺を嫌いになるのかぁッ!?』
「なんない、なんない…。それで~?キースは知りたかった事は分かったの?」
ハルカは暴走気味の涙目のコンを抱き締め、背中を撫でてやりながら俺に聞いた。
「…あぁ、いや。大昔の事で、分からなかった。」
ハルカの慣れた扱いに感心しながら、俺は答えた。
「ふぅん?あッ!じゃあ『森の主』に聞きに行こうよ!」
「…じぃさんに?」
「うん!きっと長~く生きてるから知ってるよ!決まりねッ!行こ?」
俺の返事も聞かずに立ち上がると、片手ではコンを抱き、もう一つの手を笑顔で俺に差し伸べた。
「そうだな、聞いてみるか!」
俺はハルカの手を取って笑顔を作った。
上手く笑えているだろうか…?
手を繋ぐと、ハルカはお気に入りのランプを持てない事に気が付き、コンの方を下ろそうとしたが悪戦苦闘する。
「俺がランプを持つよ…」
ハルカはやっぱり笑っていた。