記憶 ―夢幻の森―

教えてあげて…
弱く、消え入りそうな声で、そう言った。


「…ハルカ?」

おいで、と俺は小さな震える肩を抱く。
しゃっくりを繰り返しながら、それでも声は出さなかった。


『ハ…ハルカは独りじゃないぞッ!?俺がずっと傍にいるんだぞ?』

コンが、ぐしぐしと鼻をすすりながら涙を溜めた。


「うん…。でも、あたしも他の子みたいに…、お友達たくさん欲しいもんッ!キースが初めてだもん!みんな、嫌うんだもん!」


ハルカは徐々に、今までずっと自分の中に溜めていた思いを吐き出すように、

泣いた。


「…泣くあたしはイヤ!笑いたいのにッ…!笑わないあたしは嫌い!!…イヤ…」


大声をあげて、そう俺の腕の中で首を振る。


こんなに…、
我慢していたんだな。

誰にも言えなかったんだな?

まるで、
自分を見ているようで、
胸が潰れそうになる。


クゥン…
『ハルカぁぁ~…』

コンはえぐえぐと大量の涙を流しながら、ハルカの柔らかな茶色の髪にすり寄った。

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