記憶 ―夢幻の森―
8・託された使命
8・託された使命
家に帰ると、泣き腫らしたハルカの瞳を見て、両親は心配し慌てふためいた。
普段、ハルカがどれ程笑顔で強がっているか、いかに弱音を吐かないかが伺えて、苦しかった。
「大丈夫、何でもないよ?」
と笑う、理由を語らないハルカの代わりに、両親は俺に説明を求めた。
自分が自分の体を嘆けば、
両親が気に病むと知っているからこその態度だろう。
周りを思いやれる、
ハルカは優しい子だ…。
しかし、両親もそんな我が子の気遣いに、その様子に、気が付いている上で見守っているに違いなかった。
俺は、じぃさんの話した内容を話さざるを得なくなったが、ハルカが泣いた理由には触れなかった。
ハルカを治せる可能性がより強くなった事を知り、両親は静かに喜び、互いの手を取り合った。
少しの間、言葉をも忘れて涙を耐えていた。