記憶 ―夢幻の森―
白い石畳、
広場の中心にある、青い硝子のランプに囲まれた噴水…
宙で風に揺れる橙色の明かり、
そして、
神々しい七色の光を放つ教会…
「…やはり、いつ見ても綺麗な里だな…。」
そっと呟く俺を、不思議そうに不安そうに、ハルカが見つめる。
「さっきから、キース変だよ?まるで、お別れしてるみたい…。」
『また帰って来るぞ?寂しいのかッ!?俺がスリスリしてやろうかぁッ!?』
コンが俺の顔めがけ翼を羽ばたかせた。
そして、俺をからかう様に楽しそうに黒い体を頬にすり寄せ、ワハハと笑う。
「ははっ…、何でもないよ。」
俺はコンを撫でながら、ハルカに手を差し伸べる。
ハルカの左手には、
赤いランプ。
右手には、俺の手…
さぁ…
行こう…――!