記憶 ―夢幻の森―
「最後まで聞いてッ!んと…、異空間だから、人間が広い森の円状のどこから入ろうとしても、森の主のおじぃちゃんの所に繋がる。」
ハルカは続けた。
「それで、おじぃちゃんは人間を元の場所に追い払ったり、花畑に通したり、違う妖精の棲む里に通したり…森を動かして色々出来るんだよねっ!?」
じぃさんは嬉しそうにハルカに光を降らせる。
さわさゎさわ…
『…その通りじゃ。分かったかの?』
「だから、俺が初めて来た時も初めて会ったのが、じぃさんなのか…?」
『うむ…。』
俺を花畑に導いたのも、
ハルカに逢わせたのも、
フィネルへ通したのも…
寂しさを抱える同士、ハルカと友達になってくれ、という想いが込められていたのかもしれない。
俺はじぃさんを見上げ、微笑んでいた。
ワンッ!
『つまり、不思議な森だなッ!?そんで、じぃちゃん実はスゴイなッ!』
「…まぁ、いっか。」
ハルカは、コンにうまく伝わらなかった事に不服そうだったが、仕方なさそうに諦めた。
『…森は、生きているんじゃよ…?』
―― ザァァ…!
まるで、じぃさんの言葉に同調するように、
森の木々が風に舞い、互いをこすり合わせ葉の音を響かせた。