記憶 ―夢幻の森―
『わしの後ろ、背から続く道を行きなさい。泉に出るじゃろう。』
じぃさんに別れを告げ、太い樹の幹の後ろにまわる。
そこには、これまでの道のりと何ら変わらない道が、木々の緑色の光に照らされていた。
ちらほらと、時々風が吹くと葉が舞い落ち、青い虫が飛ぶ。
ワンッ!
『行こうぜ!』
駆け出すコンを追うように、俺たちは歩き出した。
さわ…
『…キース…、またな…』
じぃさんは俺にしか聞こえない程に、そう小さく葉を揺らした。
「……あぁ、…また…」
俺も小さく、そう答えた。
もう会えないかもしれない、と俺たちは頭では分かりながらも、再開の約束をした。
…仕方あるまい。
二人は命に変えても、俺が守ろう。
しかし、
筋肉もままならない、
この細い腕…
三人分の命は、少し重い。
一体、何に試されるというのか。
教えてはもらえなかったが、
『少年少女しか通さない』
とすれば、そこまでの危険は伴わないだろうと俺はふんでいた。