僕と君との境界線【BL】

「どったの?みんな?」



間の抜けた担任の声に、教室は息を吹き返した。

ふっと、肩から力が抜けたのがわかった。



誰かが咳をこぼし、それをきっかけに、わたわたと全員が席に着いた。



橘の眉間には皺が寄っていた。



それもそうだろう…。


僕は口の端が上がった。



今しがた教室に静寂を送り付けた相手は――、見たこともない綺麗な少年だったからだ。


橘よりも――、というよりも、橘とは、また違った形のイケメンだろう。



橘の賭けは、負けだった。



だが、イケメンは嫌いだ。




< 12 / 117 >

この作品をシェア

pagetop