僕と君との境界線【BL】

「季節はずれの転校生は好きか?」


担任は笑ってそんな事を言った。



「憶測ほど恐ろしいものはない、だから、あることないこと、いいふらすんじゃないぞ」



担任はそれだけ釘を刺すと、まだ扉の前で突っ立ったままの転校生を教卓まで手まねきした。


柔らかい笑みを浮かべ、転校生は緑の黒板を背にゆっくりと僕らと向き合った。




「桃井翠(ももいみどり)と申します、別に前の学校で暴行をして退学処分になったわけでもないので、安心して下さい」




にっこりと、優雅に微笑むその転校生の自己紹介に、生徒のうち一人がうっと喉を詰まらせた。


何と言う毒のある言葉だろう。


いつから、教室の前に居たんだ?






< 13 / 117 >

この作品をシェア

pagetop