僕と君との境界線【BL】
「季節はずれの転校生は好きか?」
担任は笑ってそんな事を言った。
「憶測ほど恐ろしいものはない、だから、あることないこと、いいふらすんじゃないぞ」
担任はそれだけ釘を刺すと、まだ扉の前で突っ立ったままの転校生を教卓まで手まねきした。
柔らかい笑みを浮かべ、転校生は緑の黒板を背にゆっくりと僕らと向き合った。
「桃井翠(ももいみどり)と申します、別に前の学校で暴行をして退学処分になったわけでもないので、安心して下さい」
にっこりと、優雅に微笑むその転校生の自己紹介に、生徒のうち一人がうっと喉を詰まらせた。
何と言う毒のある言葉だろう。
いつから、教室の前に居たんだ?