僕と君との境界線【BL】
「だからさ…、女の子にしてくれよ、それ…」



僕は歩みを止めた。


バスの停留所にあるベンチに腰掛け、誰もいないことに心底、ほっとした。


会話聞かれたりしたら――、それこそ…、悪夢。




「振り向かせるために、女の子じゃ役不足なんだ」



桃井も僕の隣に腰かけた。



「なら、橘にでもお願いしろよ」


「彼には彼女がいるだろ」


「僕ならいいっていうのかよ…だいたい、そんなに…」




僕は口ごもった。


そんなに、かっこよくない、と言おうとしたのだが、変なプライドが邪魔をして言えなかった。


橘や、桃井のように、ずば抜けて容姿が言いわけでもない。

だからといって、成績が言いわけでもない。

スポーツだって、何だって――…、並、以下だ。
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