僕と君との境界線【BL】
次に、赤点、取ろうものなら、それこそ危ういからな。

プライドよりも、成績。


成績だ…、成績のためだ!



「あ…、バスが来たみたいだね」


桃井が立ち上がった。


すると――、桃井の影が、僕の顔に覆いかぶさった。

暗闇が僕の瞳を支配したと同時に、ふと、唇に柔らかな感触。



何が起こった?


という考えよりも先に、桃井の満面の笑みが僕の目の前にあった。




「これにて契約成立」


桃井は放心する僕を置き去りに、軽やかな足取りでバスに乗り付けた。

ベンチに座ったままの僕を見て、運転士は一言「乗りますか?」と丁寧に訪ねた。



僕は返事をしないまま、ただただ、首を振り



「いえ……どうぞ…御先に…」



などと、わけのわからない返事をした。










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