僕と君との境界線【BL】
突然と―…、歯切れの悪い、錆びたドアの開く音がした。
屋上に吹きぬく重たい音が、ドアを尚更開きにくくしているのだ。
――ガガガっという、アスファルトを鉄パイプで削るような音。
僕と桃井、橘とみっちゃんの4人しかいなかったはずの空間に、琥珀色の淡い光が太陽のごとく射しこんだ。
まるで、その情景は、桃井が転校してきた時と似ていた。
空気が、震えるような…。
ふっと、僕の身体から、桃井の体重がなくなった。
この瞬間、今しがた屋上へ足を踏みこんだ人物が、一体誰なのかという事を、僕は知ってしまった。
桃井の表情を見なくてもわかる。
桃井の指が、桃井の心臓が、僕の背中で高く悲鳴を上げている。