僕と君との境界線【BL】
「あ、久し振りに見た…」
「だねぇ」
橘とみっちゃんは、ドアを開いた人物を見て言った。
短いスカートから惜し気もなく伸びた真珠色の肌。
風に乗って、甘いストロベリーのような香りが屋上を包みこんだ。
肩まで伸びた――、琥珀色の髪の毛。
切れ長な、何処となく悲しみを帯びた深い、新緑の瞳を持ち、美しさと、儚さを持ち合わせた少女。
「よっ、戌井!いつぶりだっけ!」
――戌井ユキ(いぬいゆき)。
確かに、僕のクラスにいる人物だ。
しかし、高校2年に上がってから、2度しか見たことのない相手だったけど。
そうだ、戌井ユキだ…。