僕と君との境界線【BL】
「桃井…?」
おずおずと僕は桃井の名前を呼んだ。
桃井は動かず、変わりに、僕から少しだけ離れた。
付き合うふり――…って言ってたわりに、案外、動揺しまくりなんだな…。
「戌井さん、どうしたの?」
「……」
みっちゃんの問いに、戌井は何も答えなかった。
桃井と同様に、この戌井もあまり表情が出ないらしい。
だが、戌井の視線は、確かに僕の後ろ――、桃井をとらえている。
「ったく…相変わらず、無愛想一直線なんだな…」
「……」
「かーっ……何なんだよ…。わざわざ屋上まで俺達を見物しにきたのかよ?」
橘の悪態にも、戌井は表情ひとつ変えない。