僕と君との境界線【BL】
「史高…?」
やっぱり…桃井だ!
追い掛けてきたのか?
僕は心臓がこれ以上早鐘を打たないように、懸命に深呼吸を繰り返した。
勿論、寝た振りをしつつだから…、結構、無理に近いんだけど。
ガチリという鍵をかけるような音が聞こえた。
ていうか――…鍵!
鍵をかけた!
絶対に、桃井は鍵をかけた!
「史高…寝てるの?」
僕は答えない。
桃井の香りが、薬品の匂いをかき消しながら、一歩ずつ、僕の寝ているベッドへと近づいてくる。
「史高…」