僕と君との境界線【BL】
桃井の切なげな声がしたと同時に、僕の前髪に冷たい指先が触れてくる。


桃井の手だ…。



桃井は僕の前髪をかきわけ、手の甲を押し付けた。

どうやら、熱があるかどうかを、確かめているらしい。




「史高…本当に、寝てるの?」



あぁ、寝てるとも!

だから、ここから出てってくれ!



僕の眼球が、ひっきりなしに動いた。

人は寝たふりをしようとすればするほど――…眼球が動くんだよ!



これ以上、瞼を閉じ続けるのは無理だ…そう思った瞬間




「史高…ごめん…」



僕の頭に添えられた手の暖かさと、唇に触れた柔らかく、湿り気を帯びた唇。

桃井は僕に、キスをした。


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