僕と君との境界線【BL】
桃井の唇が、わずかに震えているのを感じた。
バス停で交わしたキスよりも――…長い。
けれども、優しく、甘い…キスだった。
桃井の身体が、僕から離れた。
ごめんって――…何なんだ?
それは、どういう理由での「ごめん」なんだ?
ぶつけたい気持ちは、山ほどあった。
桃井の腕を掴みたかった。
ちゃんと目を見て、話したかった。
だけど――…もしも、今の「ごめん」が、桃井が僕に嘘の付き合いを持ちかけた、罪悪感から来るものだったら?
金縛にあったかのように、僕の身体は凍りついた。
今になって、拒絶される恐怖に怯えたからだ。