僕と君との境界線【BL】

桃井は、しばらく僕を見下ろしていたが、やがて、諦めたように保健室から出て行った。


僕は、ゆっくりと、目を開けた。

ベージュ色の天井が、視界に広がり、その光景は、僕の涙によってぼやけてくる。



「桃井…」


目尻から、生暖かい涙の感触。

拭うことすら忘れ、僕は、何故、桃井がキスをしてきたのかを考えていた。



好きでもないなら…。


「キスなんて…するんじゃねぇよ…」



僕は悔しくて、また、ベッドに身体を預けた。



どうやって、教室に戻ろうか。

タイミングは、いつ頃がベストなのか――…。


そんな事をあれこれと考えているうちに、僕はだんだんと、眠気に襲われてくるのを感じた。

やばいな、と、そう思っていた時は、既に夢の中だったらしく。


誰も起こしにこようともせず(当たり前だけど)、僕が次に目を覚ましたのは、既に昼食を過ぎた頃だった。
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