僕と君との境界線【BL】
――

―――


「パン…買っといてよかった」


「ごめん、橘…」



保健室から戻ってきた僕を、橘はむすっとした表情で出迎えた。

右手にはクリームパン、左手にはリンゴジュースを持って、まだ寝ぼけまなこの僕の前に差し出した。



「よく、寝てしまった…」


「どこいったと思ったら…あ、でも、フミちゃんが行った後、確か、桃井も同じ方向に走っていったけど、会わなかった?」



「ぶっは…!」


僕は、口に含んだジュースを吐き出した。

橘は、面倒見がいいのか、僕にしわくちゃのハンカチを差し出す。



「その様子じゃ…何かはあったんだな」


「う…うん…?」





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