魔王のゲーム
「魔王が近いなら、魔王のところに行って、さっさと倒せばいいだけだ」
ソラを置いて歩き出すと、ソラはひよこみたいに俺の後ろについて来る。
「そうだよね……僕らなら倒せるよね?」
「さぁな?」
「さぁなって……はぁ……まぁ、魔王がどんなに強いか知らないし、仕方ないよね」
魔王。
この世界に何の前触れもなく舞い降りた、壮大なる力を持った魔界の王。
らしい。
らしいと言うのは、この世界に住んでいる人々が、魔王をそう言い伝えてるから。
そして俺達、《ゲーム》参加者は、この世界の人々からみたら、魔王を唯一倒せる勇者だとか……
馬鹿馬鹿しい話だ。
だが、この世界の人々は、本当に俺達《ゲーム》参加者に魔王を倒す為に尽くしている。
わざわざ、都市一つを魔王を倒す為に、《ゲーム》参加者に《首都》を一つ与え、《ゲーム》参加者で力有るものには地位を与え、その他の《ゲーム》参加者にも最善を尽くしている。
それくらい、魔王はこの世界の人々から見たら《恐怖》の対象なのだ。
だから、強い者に縋り付く。
そして、俺らは元の世界に戻る為に戦う。
利害一致と言うことで、二年経った今では、この世界での《ゲーム》参加者への対応はかなり良いものへとなった。