【短編】HAPPY★VALENTINE
ばつの悪そうな顔をした優輝は、そっと口から手を離す。
「どうしても奈留の喜ぶ顔が見たかったから……。」
横を向いて、長い前髪で赤くなった顔を隠すように優輝は言った。
「ねぇ、この指輪。どの指に入れてくれるの?」
「って人の話「聞いてたよ。だから、ねっ。
せっかく遠くまで探してくれたんだもん。大切にしなくちゃっ。」
あたしも優輝の気持ちに答えてあげたいんだ。
一瞬、躊躇した優輝は、箱から指輪を取り出して、あたしの左手を迷うことなく持ち上げた。
「これからもずっと一緒にいよう。」
すんなりと薬指に入っていく指輪。
「奈留…………。」