君と過ごせる最期まで
「あは、あはは…なんだろ…稔のお母さん…笑えないから」
笑えないから、そんな冗談…
『稔ね、交通事故で亡くなったって…!』
亡くなった?
死んだってことでしょ?
「稔が死ぬ…?…そんな訳ないじゃん」
でも…なんでだろう。
『…詩…歌…』
あの時の稔の苦しそうな声が頭で、なんども響くのは。
足が…病院に向かってるのは。
「…そんな訳ない」
そう、慌ただしい心音を誤魔化しても…
意味は持たない。
寧ろ、歩く足が徐々に速くなってくる。
しかも、無意識に。
手には、けたたましく鳴り響くケータイ。
恐らく稔のお母さん。
出られる訳ないじゃん…