君と過ごせる最期まで
病院についた頃、その時期を見計らかったかのように、再度ケータイが鳴った。
ゆっくりと、ボタンを押す。
「…はい」
「詩ちゃん!…ごめんね?ごめんね…?稔…五階の509号室だから…」
病院の窓からあたしの姿が見えたらしい。
「…わかった」
声が…震える。
稔のお母さんの言葉が…嘘には思えない。
「…今、行くね」
…本当は、行きたくないよ…。
エレベーターの上へ上る表示を…どうしようもなくなって…、見たくなくて…目を逸らした。