君と過ごせる最期まで







病院からの帰り道。



すでに時刻は10時を回っていた。



あれから、稔のお母さんに“今日は帰りなさい”と促され、今に至る。



鞄にある、稔への誕生日プレゼント。



送り主が居なくなった今、それは意味をもたない。



ケータイには、稔から来た…着信履歴。



「…あ」



着信…履歴?



そういえば…あれはなんだったのだろう。



最後に聞いた、稔の苦しそうな声。



『…詩…歌…』



ケータイには、7:26と残されている。



でも、



「稔が…死んじゃったのは、7時18分って言っていたような…」



と、いうか言っていた。確かに稔のお母さんはそう、言った。



でも、ケータイに残されているのは7:26分…



< 15 / 96 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop