君と過ごせる最期まで
…だけど
『…やっぱりな』
その、稔の温もりがあたしに伝わることはなかった。
稔の酷く、辛そうな表情が目に入る。
…てか、なんであたし泣いてるんだろう…。
病院で稔のあの姿を見ても…泣かなかったのに。
なんで…今。
稔があたしの前に現れてきてくれたのに…泣いてるんだろう?
『…詩歌…。ごめんな』
そう、稔は再度あたしを抱き締めるように手を広げた。
…その、稔の温もりが伝わることはないけれど。
…どこか、心地よかった。
稔は、あたしの体を覆うようにあたしの背中で手を合わせる。
あたしも稔の背中に手を広げた。
「ごめんな…。…泣かせてごめん…」
あぁ…、そっか。
あたし、安心したんだ。