君と過ごせる最期まで
『行く行く!』
その言葉を待ってましたぁ!と言わんばかりに目を輝かせる稔。
内心、呆れた溜め息をついた。
「んじゃあ…行くけど、はぐれないでよ?」
『了解!』
と、敬礼する稔に苦笑いを零しつつ階段を下り、靴を履く。
それに伴うように、ドアと鍵を閉めた。
「よしっ!行きますか!」
『おー!』
歩き始めて、数分。
いつも通りの通学路。いつもは、バスに乗るんだけど、今日は早起きということで徒歩で行くことにしてみた。
『なぁ、詩歌。今日色々な場所、まわらねぇ?』
「はぁ?」
急な稔の可笑しな提案に、はぁ?と眉を寄せる。
「まわるってどこを?」
『ん~…屋上とか、教官室とか…?思い出巡りしようぜ』
そういう稔の真意が全くわからなかったけれども、断ったらいけない気がしてあたしは、コクリとただ頷いた。