君と過ごせる最期まで



『行く行く!』



その言葉を待ってましたぁ!と言わんばかりに目を輝かせる稔。



内心、呆れた溜め息をついた。



「んじゃあ…行くけど、はぐれないでよ?」



『了解!』



と、敬礼する稔に苦笑いを零しつつ階段を下り、靴を履く。



それに伴うように、ドアと鍵を閉めた。



「よしっ!行きますか!」



『おー!』



歩き始めて、数分。



いつも通りの通学路。いつもは、バスに乗るんだけど、今日は早起きということで徒歩で行くことにしてみた。



『なぁ、詩歌。今日色々な場所、まわらねぇ?』



「はぁ?」



急な稔の可笑しな提案に、はぁ?と眉を寄せる。



「まわるってどこを?」



『ん~…屋上とか、教官室とか…?思い出巡りしようぜ』



そういう稔の真意が全くわからなかったけれども、断ったらいけない気がしてあたしは、コクリとただ頷いた。



< 33 / 96 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop