君と過ごせる最期まで



変わったとすれば出されている駄菓子の種類くらいだ。



居眠りしてるおばあちゃん。…変わってない。



「おばあちゃん!」



あたしがそう呼びかけると、おばあちゃんはいつもハッと慌てたように目を見開く。



「ん…あぁ、こんにちは」



その仕草すら変わってなくて、なんだか変に可笑しくて顔が綻んだ。



「久しぶりだね、おばあちゃん」



「…?」



「詩歌だよー」



おばあちゃんはあたしを見るなり、不思議そうに首を傾げている。



そして、少し考え込んだあと、思い出したように顔を綻ばせていた。



「詩歌ちゃんかい。本当に久しぶりだね~。稔くんは、一緒じゃないのかい?」



あのね…おばあちゃん。
稔あたしの横にいるの…
なんて、言えないけどね



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