君と過ごせる最期まで
言っても、いいのかな…
言った後気まずくなったりしないかな…
…優しいおばあちゃんのことだ。あたしを気遣って気まずくなるに決まっている。
やっぱり…
「おばあちゃん、なんにもないよ。心配してくれてありがとね!」
言えないよ…。
きっと…稔とここに来るのは今日で最後かもしれない。
…いや、稔と出かけられるのは今日で最後かもしれない。
そんな大切な日は楽しく過ごさなきゃ駄目じゃない。
胸に疼くなにかを必死に押し込めた。
…………そんな、あたしの頭に稔は優しく手を添えた。
そんな行動をしている稔を不思議そうに、見てみれば稔は何を言うこともせず、ひたすらあたしの頭を撫でるように手を左右に動かしている。