君と過ごせる最期まで
稔に触れられないことがここまで、不憫に感じるとは。
…ブン殴りたい。
なんかどさくさに紛れてデブとか聞こえてくるんですけど。
あたしが怒れないのを良いことに…ッ!
稔の奴め…。
「詩歌ちゃん…なんだい、今度は恐い顔して。百面相だねぇ…」
おばあちゃんが駄菓子をいれる黄色い籠を片手に怪訝そうに言う。
「あ、えと…あ、はは。あはははー」
…自分で言うのもなんだが…今のあたし不気味だった…。
『…キモ』
そんな言葉がふと聞こえて稔の方を見ると先程とは一変、本気で引いたようにあたしを見てくる。
…冷たい。目が冷たいよ、稔…。
『……リアルにキモかった…』
そうやって、真顔で言われることが一番傷つくんですよ…?稔くん。