君と過ごせる最期まで



海についても稔は言葉を発そうとしない。



さすがにここまでくると、あたしがなにかやらかしたか心当たりが無くても不安になってきた。



あたしのそんな心境を余所に稔は更に奥へと歩き進んでいく。



歩くたびにジャリジャリと貝の擦れ合う音が耳に入ってきた。




『なぁ…詩歌』



そんな気まずい沈黙を破られたのはあまりにも容易くて。



あたしは驚いて、砂浜にあった貝を踏みつけてしまう。



「痛っ」



運が悪いのか、貝の先が尖っていた。



そんな貝を踏みつけてしまったあたしの足は、若干へこんではいるが、出血を伴っているわけではないので、そういう点では運が良かったか…?



『どうした?!』



1人、足を押さえうずくまってるあたしに稔が驚いたように声をかけてくる。



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