君と過ごせる最期まで
「貝…踏んだ」
さすがのあたしでもこの事実に羞恥を覚え、語尾が小さくなっていく。
『…大丈夫か?』
…?!
予想外に紡がれた言葉。
稔のそんな言葉に足の痛みを忘れてしまいそう。
あたしは『馬鹿』とか、『ダサい』とか…そんな憎まれ口を予想していたのだが。
紡がれた言葉はそれとは真逆のもの。
「稔…今日、変」
あたしがそう言えば稔はピクッと体を揺らした。
やっぱり…なにかあったんだ。
「稔…なに?今日、変だよ。なにがあったの?」
そう心配そうに問うと、稔は、聞こえなかったのか…聞こえないフリをしたのか…
何事もなかったようにあたしの手を引き、うずくまっていたあたしを立たせる素振りを、稔はみせる。