君と過ごせる最期まで
立たされた(立った)あたしはその反動とともに触れられない稔の肩に手を置いた。
「稔!ねぇ、聞いてる?!」
問いかけるあたしに稔は目をそらし、視線を泳がしている。
稔に何かあったことは明白である。
…あたしには、言えないのかな…
だったら無理に強要することも酷なものだ。
「…稔、歩こっか」
あたしは何事もなかったように稔に重ねていた手を避けて、砂浜に足を投げた。
貝のおかげで、少し穴が開いてしまった靴。
今思えばあたしが出血を伴わかったのは靴のおかげだね、なんて話しながらあたしは笑う。
俯いている稔の表情は読みとれないけど…暗い表情をしているのは確か。