君と過ごせる最期まで
そんな稔に気づかないふりをする。
触れては…いけない気がした。
もし、その話題に触れてしまったら…稔は…
一瞬、浮かんでしまった考えをブンブンと頭を振り振り払う…。
『…詩歌、あのな…』
稔が発しようとする言葉を無理矢理止めた。
あれだけその話題を、聞き出そうとしていたくせにあたしは自分勝手なやつだ。
…でも。
今は、…聞きたくない。
「いい。…言わなくて、いい…」
…聞きたくなかった。
いつもはおどけて、ふざけて笑うだけの稔がそんな真剣な表情をするほどの…話なんて。
『…詩歌!聞け!』
「ヤダ!言わないで、馬鹿!」
『馬鹿?!関係ないだろが!』
稔が走り去ろうとするあたしの前に、立ちはだかる。