君と過ごせる最期まで



『俺が、出かけていたのは初日だけ。それでその時知った。詩歌が泣いているのを』



…嘘。



誰か…嘘だと言って



『…泣いてる詩歌をずっと、窓の外で見守るっていうのは…変な表現だけど見守ってた』



…稔だけには、



…知られたくなかったのに。



『…ごめん。何もしてやれなくて、ごめん…』



そう頭を下げる頭にそれは真実なんだと肯定せざる得なかった。



『…詩歌、俺さお前になにもしなかったこと間違ってるとは思わない』



………言わないで。



『…俺さ、幽霊だから』



…お願い、



なにも、言わないで…



口に出したいのに…



思うように声が出せない




< 75 / 96 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop