君と過ごせる最期まで
『俺、さ…』
気づいていた。
今日の朝。胸がざわつく理由に。
けれど…気づかないふりをしていたのはあたしの我が儘。
『こうして、詩歌といれること奇跡だと思う…』
切なげに肩を揺らす稔。
涙する稔を見るのはいつ以来だろうか。
『詩歌、霊感なんてないのにさ…俺だけが見えてて…』
…稔だから
稔だから…あたしは見えてるんだよ。
『本当、これ以上の奇跡俺にとってはねぇよ…』
あたしにとってもだよ…
気づいている。心の奥底では。
稔が…
消えてしまいそうなことに…。
気づきたくなんて…ないのにね