君と過ごせる最期まで
それは…泣いているかのような啜り声。
「どうしたの?!てか、稔のケータイ…!」
ケータイ越しで聞こえてくる、稔のお母さんの啜り泣く声。
ズズッと鼻水を啜る音が耳に入る。
「…稔がなんかしたの?」
そう、問うても稔のお母さんはううんと否定するだけ。
私はただ疑問が深まるばかり。
「詩ちゃん…!稔ね、稔ね…!」
その声は、弱々しく今にも崩れてしまいそうだった。
「…さっき、病院に来て、稔ね…ッ!」
…病院?
病院って、あの病院?
病気の人が通う…
「稔、怪我でもしたんですか?!」
違う…。そんな否定の声とともに聞こえてきた言葉。
反動的にケータイを、切る。